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資産除去債務とは

有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。この場合の法律上の義務及びそれに準ずるものには、有形固定資産を除去する義務のほか、有形固定資産の除去そのものは義務でなくとも、有形固定資産を除去する際に当該有形固定資産に使用されている有害物質等を法律等の要求による特別の方法で除去するという義務も含まれる。

※有形固定資産の「除去」とは

有形固定資産を用役提供から除外することをいう(一時的に除外する場合を除く)。除去の具体的な態様としては、売却、廃棄、リサイクルその他の方法による処分等が含まれるが、転用や用途変更は含まれない。また、当該有形固定資産が遊休状態になる場合は除去に該当しない。

背景・目的

目的:国際会計基準への対応

背景:固定資産の除去に関する将来の負担を財務諸表に反映させることが、投資情報として役立つとのことから、米国にて2002年から資産除去債務の開示が義務化されました。国際会計基準審議会も、同様の将来費用の開示を求めているという国際的な流れもあり、日本の会計基準と国際財務報告基準(IFRS)との差異を縮小することを目的とし、2008年3月末より、日本の企業会計基準委員会でも導入することが決定しました。

資産除去債務の対象

建物等賃借契約に関連して敷金を支出している場合(適用指針9)

建物等の賃借契約において、当該賃借建物等に係る有形固定資産(内部造作等)の除去などの原状回復が契約で要求されていることから、当該有形固定資産に関連する資産除去債務を計上しなければならない場合がある。この場合において、当該賃借契約に関連する敷金が資産計上されているときは、当該計上額に関連する部分について、当該資産除去債務の負債計上及びこれに対応する除去費用の資産計上に代えて、当該敷金の回収が最終的に見込めないと認められる金額を合理的に見積り、そのうち当期の負担に属する金額を費用に計上する方法によることができる。

契約で要求されるもの参考例(会計基準3)

【定期借地権】

平成4年8月1日より施行された借地借家法で新たに創設された制度。更新がなく、定められた契約期間で確定的に借地関係が終了する。事業用借地権(同法24条)事業目的で存続期間を10年から20年以下とする。平成20年1月1日より、改正借地借家法が施行され、10年以上50年未満の期間で事業用借地権を設定することが可能になりました。

会計処理

(1)資産除去債務の負債計上(会計基準4)

資産除去債務は、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって発生した時に負債として計上します。

貸借対照表の記載例(一般企業)

貸借対照表の流動負債、固定負債の内訳として新たに資産除去債務を追加

(2)除去費用の算定(会計基準6)

資産除去債務は、発生時に有形固定資産の除去に要する割引前の将来キャッシュ・フローを見積り、割引後の金額(割引価値)で算定します。算定時に注意すべきは下記3点。

 

割引前の将来キャッシュ・フロー

合理的で説明可能な予測に基づく自己の支出見積によるものとする。見積金額は、生起する可能性の最も高い単一の金額、又は生起し得る複数の将来キャッシュ・フローを、それぞれの発生確率で加重平均した金額とします。

 

将来キャッシュ・フロー

有形固定資産の除去に係る作業のために直接要する支出のほか、処分に至るまでの支出(例えば、保管や管理のための支出)も含めます。

 

割引率

割引率は、貨幣の時間価値を反映した無リスクの税引前利率とします。

(3)資産除去債務に対応する除去費用の資産計上と減価償却(会計基準7)

資産除去債務に対応する除去費用は、資産除去債務を負債として計上した時に、当該負債の計上額と同額を、関連する有形固定資産の帳簿価額に加えます。資産計上された資産除去債務に対応する除去費用は、減価償却を通じて、当該有形固定資産の残存耐用年数にわたり、各期に費用配分(減価償却)するものとします。

 

(4)資産除去債務を合理的に見積ることができない場合の対応(会計基準5)

資産除去債務の発生時に、当該債務の金額を合理的に見積もることができない場合には、これを計上せず、当該債務を合理的に見積ることができるようになった時点で負債として計上します。

 

(5)注記事項(会計基準16)

資産除去債務会計処理に関連して、重要性が乏しい場合を除き次項を注記します。

 

1. 資産除去債務の内容についての簡潔な説明

2. 支出発生までの見込期間、適用した割引率等の前提条件

3. 資産除去債務の総額の期中における増減内容

4. 資産除去債務の見積りを変更したときは、その変更の概要及び影響額

5. 資産除去債務は発生しているが、その債務を合理的に見積ることができないため、貸借対照表に資産除去債務を計上してい ない場合には、当該資産除去債務の概要、合理的に見積ることができない旨及びその理由

適用時期

適用時期について

平成22年4月1日以後開始する事業年度より適用

※平成22年3月31日以前に開始する事業年度からの早期適用も可能

適用初年度の期首残高算定

適用初年度における期首残高の算定は次のように行い、両者の差額は適用初年度において原則として特別損失に計上します。

(会計基準18)

 

1. 適用初年度の期首における既存資産に関連する資産除去債務は、適用初年度の期首時点における割引前将来キャッシュ・フローの見積り及び割引率により計算を行います。

 

2. 適用初年度の期首における既存資産の帳簿価額に含まれる除去費用は、資産除去債務の発生時点における割引前将来キャッシュ・フローの見積り及び割引率が、適用初年度の期首時点と同一であったものとみなして計算した金額から、その後の減価償却額に相当する金額を控除した額とします。

資産除去債務に関する手続きの流れ

(2009/08/03更新)